なんと懐の大きいことか――彼からは演じる役同様の気品と愛情が満ち溢れていた。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』から『ブラックパンサー』、そして『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』という超大作シリーズのなかで、“ブラックパンサー”というアメコミの歴史上で最も重要なキャラクターを作り上げるチャドウィック。一体彼の胸のうちにはどんな思いがあるのか? 役作りのこだわりに迫った。
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主人公は、父の遺志を継ぐ若き国王ティ・チャラとしての立場と、“秘密”を守る漆黒のヒーロー・ブラックパンサーとしての2つの顔を持つ。彼の使命は、祖国である超文明国家ワカンダの“秘密”を守ること 。アフリカの秘境にあるこの国は、幻の“黄金郷”と呼ばれ、世界で最も発達した高度なテクノロジーを持ち、世界を変えてしまうほどのある秘密を隠していた。その秘密とは、世界を破壊するパワーを秘めた鉱石“ヴィブラニウム”。このとてつもないパワーを秘めたヴィブラニムが悪の手に奪われてしまったら、人類に未来はない──。
チャドウィックは主人公について、国王とヒーローという2つの顔だけではなく、さらなる“二面性”を持つことが魅力的だと語る。
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「弱さと強さ、両方を秘めた人間性が魅力だと思う。いろんな意味で二面性のあるキャラクターだよね。彼にとっての弱さというのは、自分にとって愛するもの、守るべきものが物凄くたくさんあるってことだ。例えば、亡くなった愛するお父さんがいて、大事な母親と妹がいる。そして、国を守らなければならず、国民を守らなければならず、国の伝統を守らねばならず、友情もあり、愛する女性もいる。そこを突っ込まれたら、全てが彼の弱みになるんだ」。
「一方で、スーパーヒーローの“ブラックパンサー”として子どもの頃から肉体的にも鍛え上げられ超人的なパワーを秘めている。が、そればかりに頼っているわけにもいかないんだ。一国王としての業務もあり、いろんな意味で揺れ動くというところが魅力的なんじゃないかと思う」。
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劇中で、国を、民を、愛する人を思うあまり、悩み揺れ動く姿は親近感を覚える程に人間味に溢れている。観る者の心をギュッと掴むそんなキャラクターの魅力を表現するにあたり、チャドウィックがこだわった部分がある。そのうちのひとつは、“訛り”だ。
「(舞台である)アフリカは一つの大陸なので、その中に色んな国があり、言語がある。さらにひとつの国をとってみても“訛り”はたくさんあるわけですよね。なので、“ブラックパンサー”として話すときには、典型的な、アフリカの漠然とした訛りにはしたくなかったんです」。
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「ですから、いろんな地方の様々な言語を研究しました。最終的に、南アフリカの公用語のひとつ・コサ語をベースにして、ワカンダ特有の訛りを開発しました。ほかの映画でも何回か一緒に仕事をしたことがある方言指導の先生についてもらったんです。『シビルウォー』のときから既に行っていた作業だったので、本作ではさらに洗練させた訛りへと高めていったという形です」。
「そういうところからも、彼の自国への愛情というものが表現できてればいいなと思いますし、この主人公は王様であり政治家であり交渉事にも優れているので、物腰柔らかな口調でありながらも、断固として譲らないところは譲らない、という意志を口調からも表現したかったです」。
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細部へのこだわりは尽きず、見どころもたくさん!語り尽くせない! といった様子だ。そんな中でも女性たちが“本作を楽しむポイント”はどこか、オススメを聞いてみた。
すると「僕と、マイケル・B・ジョーダンの“半身裸”シーンが多いから? そこでしょう!」と茶目っ気たっぷり! 「まぁそれは冗談だけどね(笑)」と笑うが…確かに、2人の鍛え上げられた肉体美は要チェック! 拳と拳でぶつかり合う対決シーンには胸熱必至だ。
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「ありとあらゆるタイプの女性キャラクターが登場することに注目してほしい。もちろん強くて魅力的な女性キャラクターたちが出てくるんだけど、それだけじゃないんだ」「僕は、女性の美しさや魅力というのは、これぞ“究極の理想の女性”みたいにひとつのパターンに決められるものでは無いと思う。登場人物それぞれが魅力的だと思うんだ」。
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「例えば、アンジェラ・バセット演じる優しく心強き国王の母・ラモンダの母性本能や、毅然とした女王らしさ、強さ・威厳みたいなものに『私もああなりたい』と惹かれる女性もいるだろう。女スパイ・ナキアのように、世界を見て回っただけにオープンマインドで、自立心旺盛、自分に自信を持っている女性に憧れる女性もいるかもしれない。もっと若ければ、国王の妹にして天才科学者のシュリを見て、ちょっと生意気で科学オタクの側面を『可愛いな』『自分にもああいうところあるよね』って共感できるかもしれない。そんな風に、いろんなタイプのキャラクターがいるから、どんな人にでもそれぞれが共感できるキャラクターが用意されているんだ」。
「本当に、肌の色や国に縛られず、日本人の皆さんにも共感してもらいながら楽しんでもらえると思うよ」。
協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ