そんなファンの疑問に答えてくれるのは、もちろん、この人。2015年に公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で約30年ぶりにルークを演じ、同作のエンディングを興奮と感動に包んだマーク・ハミルだ。本稿では今年7月、米ロサンゼルスで行ったインタビュー取材をもとに、SWサーガの生き証人であるハミルの目線から、謎のベールに包まれたシリーズ最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の真実に迫りたい。
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さて、現時点でルークに関して明らかになっているのは、「カイロ・レンを後継者として育てようとしたが、失敗した」「弟子が暗黒面に落ちた罪悪感にさいなまれ、水の惑星オクトーで隠遁生活を送っている」「長年行方不明だった自身のライトセーバーを、レイを介して、再び手にした」といった程度。ハミルはこうした断片的な情報こそ、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の重要なヒントになっていると認めた上で、「僕自身はもう主人公ではないんだ。物語はあくまでレイの視点で描かれる」と語る。
■ルークがジェダイの終えんを口にするなんて…
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台本を手にする前は「どんな展開になっても、驚くことはないだろう」とタカをくくっていたそうだが、実際に読み進めると「正直、驚いてしまった。『スター・ウォーズ』の登場人物の中でも最も楽観的で、希望の体現者であるルークが、ジェダイの終えんを口にするなんてね。ショックだったよ」と脚本も手がけるライアン・ジョンソン監督のビジョンに動揺したそうだ。
「善と悪の戦いを通して、道徳観を説くこと。これこそが『スター・ウォーズ』が世代を超えて愛され続ける理由だと思う。新たに動き出した3部作も、その点に揺るぎはないと思うけど、新しい切り口が加わることで、『だれが善で、だれが悪なのか?』というある種の不透明感が、物語をまったく予想もつかない方向に導いているのは事実だ。この僕が(笑)、驚くほどだからね。ファンのみんなには、受け入れる心の準備をしてほしいね」。
役作りに関しては「オビ=ワン・ケノービの要素が、色濃く盛り込まれているよ」と教えてくれた。
■シリーズ復帰を後押ししたのは、ハリソン・フォード
ハミルのもとに『スター・ウォーズ』シリーズへの復帰オファーが届いたのは、2012年の夏ごろだった。「恒例のスター・ウォーズ・セレブレーションがあって、(ジョージ・)ルーカスにランチを誘われたんだ。ルーカス・フィルムがディズニー傘下になり、新しい3部作を製作することになったって聞かされてね。聞いた瞬間は、ポーカーフェイスでやり過ごしたけど、正直、うれしさよりも怖さがあった。ファンの怒りを買うんじゃないかってね」。ちなみにランチには、キャリー・フィッシャーも同席していたそうで、「彼女は『私はやるわよ!』って即答していた」のだとか。
そうこうしているうちに、ハン・ソロを演じるハリソン・フォードの出演が決定し「これで決まりだよ。内心、『召集令状が来たな』とも思ったけど、僕だけ断ったら、それこそファンから総スカンを喰らう。映画史上、最も嫌われた男になってしまうからね(笑)」。
■キャリーは、いまも僕らのそばにいるよ
昨年末に急死したキャリー・フィッシャーにとって、レイア・オーガナを演じる『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は遺作となった。
「あの出来事があった直後は、悲しみと同じくらい怒りを覚えてしまったんだ…。こんな仕打ちで、僕らの夢が台無しになるなんて、耐えられないってね。でも、映画というのは誰かの奇跡と悲劇、そして死と再生によって、出来上がっているんだ。もちろん、いまも彼女のことを過去形で語ることはできないけど、これまでに彼女が僕たちに与えてくれたことに感謝すべきだよね」。
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インタビューが行われたのは、ビバリーヒルズにあるフォーシーズンズホテルの一室。窓の外に目を向けると、晴れ渡った空、手入れが行き届いた芝生、生い茂る花木が美しい情景を描いていた。「いい眺めだよね。きっと、キャリーはいまも僕らのそばにいるよ。木で鳴いている鳥かもしれないし、芝生を駆ける犬かもしれない。僕らが悲しがるのは、望んでいないんじゃないかな」 双子の兄妹であるルークとレイアが再会を果たすのかも、注目したいポイントだ。
協力:ウォルト・ディズニー・ジャパン