女優の広瀬すずが『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の劇中で松田聖子の「瑠璃色の地球」を披露することが話題だ。過去にも多くの女優が音楽活動をしているが、そこにはどんな理由やメリットがあるのだろうか? 様々な女優の音楽活動から探ってみたい。女優のCDリリースがヒットし話題となったものとしては、柴咲コウがRUI名義で『黄泉がえり』の主題歌「月のしずく」を歌唱したケースがある。また松たか子のように、女優デビュー初期から「明日、春が来たら」など歌手活動も並行、最近では『アナと雪の女王』の吹き替え版で「Let It Go」を披露し当時大ブームを巻き起こしたことなどが思い起こされる。このように大きな話題となったもの以外でも、現在活躍中の女優の大半が何らかの形で歌手デビュー、音楽活動を行っている。今回、広瀬さんは自身が主人公の声優を担当した映画の劇中歌を歌唱、楽曲は1980年代から輝き続ける不世出のアイドル・松田さんの楽曲で、劇中歌ではあるが8月9日(水)発売の同作のサントラに「及川なずな(CV. 広瀬すず)」の名義で収録されており“CDデビュー”も果たしたことになる。広瀬さんと似たケースで最近話題になったものとして挙げられるのが、昨年公開された映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』で主演の橋本環奈が主題歌の「セーラー服と機関銃」をカバーした例だろう。1981年に公開された『セーラー服と機関銃』では主演を務めた薬師丸ひろ子が主題歌「セーラー服と機関銃」を歌い、映画同様楽曲も大ヒットした。その後同作が2006年にドラマ化された際には長澤まさみが同じく主演と主題歌をカバー、大きな話題を集めた。現在、広瀬さんは19歳、橋本さんは18歳と共にハイティーンだが、この世代は親がちょうど80~90年代のヒット曲で育った世代。同世代からの支持が高い彼女たちが80年代のヒット曲をカバーすると、それが親子で共有できる話のネタとなる。楽曲がきっかけで家族で映画を鑑賞することにつながることもあるだろう。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のようなアニメ作品では、親子や家族連れの客層を呼び込むために「80年代の名曲をカバーする」というのは有効なフックになるのではないだろうか。また、広瀬さんは映画のキャラクター名義で楽曲を発表したが、同様に「役名」で楽曲を歌唱し大きな話題となったのが、沢尻エリカだ。ドラマ版「タイヨウのうた」での役名“雨音薫”(表記はKaoru Amane)としてリリースしたシングル「タイヨウのうた」は2週連続1位のヒットを記録。役名で楽曲をリリースすることで作品と音楽の連動性がより高まるのだろう。今回の広瀬さんや橋本さんのように自身の出演作の楽曲を歌った女優はほかにも、自身主演のドラマ「エースをねらえ!」でエンディング曲「愛のために。」を担当した上戸彩や、ヒロインを演じた『恋空』で挿入歌「heavenly days」を歌った新垣結衣などがいるほか、最近では土屋太鳳が『フェリシーと夢のトウシューズ』の吹き替え版でヒロインの声優を担当、映画主題歌に初挑戦している。一方、女優が80年代のアイドル曲をカバーした例としては、綾瀬はるかが作詞家・松本隆のコンピアルバムに参加という形で松田聖子の「赤いスイートピー」をカバー、また太田裕美の「木綿のハンカチーフ」も配信リリースしている。世代を超えて親子、家族を結びつける女優による80年代曲のカバーは今後も増えそうな予感。次は誰がどの曲をカバーするか予想するのも楽しいかも。広瀬さんが声優を担当、菅田将暉、人気声優の宮野真守らも声優として出演する『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は8月18日(金)より全国東宝系にて公開。