そこで、今回は“ドクターヘリ”の整備士を演じる俳優・岩井拳士朗に注目。インタビューを敢行すると、「クワガタや化石が大好き」と瞳を輝かす少年のような素顔。そして俳優業へのひたむきな情熱が明らかとなった。
「以前から見ていたドラマでした。あのキャストの方々の中に入るのかと思うと、すごくテンションが上がって。頑張ろうと気持ちが高まりました」と「コード・ブルー」への参加に感激しきりの岩井さん。演じているのは、ヘリの整備士・鳥居誠役。「ヘリのドアを開けたり、フェローの方たちを誘導したりと、大体ヘリの周りにいます」というようにヘリのシーンで毎話、目にすることができるが、ワイルドな雰囲気は鳥居役のために作り上げたものだとか。
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「整備士役には、力が必要となる場面も多いです。もともとそんなに筋肉質ではないので、この役が決まってからは毎日、長距離を歩いたり筋トレをして体幹を意識して鍛えています。肌の色も白かったので、焼いて役作りをして。ヘリのことや医療についても、わからないことだらけ。未知のことを知っていくのはとても楽しいです」と好奇心と意欲を胸に、現場に飛び込んでいる。
現場で感じるのは「チームの団結力」。ドクターの藍沢を演じる山下智久からは、刺激もたっぷりと受けている。「山下さんは、藍沢先生そのもの。長くやっているドラマなので、同じ藍沢先生の中でも、様々な経験を通して心も少しずつ変化してきている。それを演じるのはとても難しいことだと思いますが、その変化の見せ方など、山下さんを見ていると本当にすごいと思うことばかり。カメラが回っていないときは、ものすごくフランクな方なんです。『この雑誌、読む?』とか色々話しかけてくださって、中心に立つリーダーという感じです」。
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「みなさん、尊敬できるところがたくさんある。いいところを盗んで、吸収したい」と勉強熱心な岩井さん。もともとは美容師を目指して、鹿児島から東京に出てきたのだそう。「美容の専門学校に行きつつ、モデルの活動をしていました。その頃にいまの事務所に声をかけていただいたんですが、自分も『美容師は好きだけれど、ほかにも何かあるかもしれない』と思っていた時期で。専門学校を卒業してから、『人生は一回きり。芝居も面白いかもしれない』と思い、俳優を目指すようになりました」。
「美容師もそうですが、昔から、折り紙や絵を描いたりと、“創作”が好きでした」とモノ作りへの興味も、俳優への道に進んだ理由のひとつ。2017年は『サクラダリセット 前篇/後篇』で初めて映画にも出演し、一層、その熱が高まった。「みんなでいいものを作っていこうという思いが特に感じられる現場でした。各所でスタッフさんが頑張っていて、『自分もしっかりやらなきゃダメだ!』と思いました。映画作りの現場を見て、みんなでモノを作ることの難しさとともに、楽しさもすごく感じました」。
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手探りで俳優道を突き進んできた。悩んだときには、先輩俳優の言葉が支えとなった。「仕事がない時期には、高良健吾さんが『自分でしっかりやっていれば、タイミングは必ず来る。めげずに自分を高めていくことが大事』と言ってくださった。また、芝居というものがわからなくなったときには、忍成修吾さんに『自分で思ったことをバンバンやっていけ』と言っていただいて。そういった言葉が、すごく支えになっています」。
「いまはとにかくやってみようという気持ち。経験も浅いので、現場では自分を全力でぶつけたい。がむしゃらにやっていれば、何か見えてくるんじゃないかと思っています。やったことのないことばかりなので、なんでもやりたいです!」とひたむきな姿勢が気持ちいいが、その強い精神力は“拳士朗”という名前をつけてくれた祖父から譲り受けたもの。「おじいちゃんはあらゆる武術をやっていて、めちゃくちゃ強い人。そのおじいちゃんが『強くなれ』との思いを込めてつけてくれた名前です。どんと来いという精神力は、おじいちゃんから引き継いだものだと思います」。
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そんな“拳士朗”さんの座右の銘は、なんと「北斗の拳」の中でもケンシロウではなく、ラオウが放った名言「我が生涯に一片の悔い無し」。「男としてこれを言って死ねたら、めちゃくちゃかっこいい!」と少年のように笑うが、プライベートでハマっているものを聞いても「化石とクワガタが大好きなんです。恐竜も好きだし、全然大人になれていない(笑)。小さな頃に好きだったものが、むしろレベルアップしている」とピュアな素顔を見せる。
「『コード・ブルー』は海の方でも撮影をしているんですが、そっちの方って化石が出るんですよ! 撮影の後には、化石を探しに行くこともあります。高校生の頃は、鹿児島の獅子島に行ってアンモナイトを見つけたんです。アンモナイトにはロマンがあります」と化石やクワガタの話を始めると、すっかりノンストップ状態! 整備士のお兄さんは、少年のような素顔を持った激アツなイケメンだった。
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