阿部寛と樹木希林が親子を演じる、是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』。先日は第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で正式上映され、喝采を受けた本作から、阿部さん演じる息子・良多と樹木さん演じる母・淑子が、実の親子のように息ぴったりの掛け合いを見せる本編抜粋映像がシネマカフェに到着した。『そして父になる』『海街diary』の是枝監督が新たに送りだすのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちが、いまを生きる物語。阿部さんにとって初めてとなったカンヌでは、上映中には笑い声が上がり、上映後は7分間におよぶスタンディングオベーションで迎えられるなど、絶賛を受けた。そんな本作から届いた今回の映像では、“元家族”だった良多、響子(真木よう子)、真悟(吉澤太陽)の3人が、久しぶりにひとつ屋根の下に集まったことを喜び、淑子が自慢のカレーうどんを振る舞っている。良多は久しぶりの母の味に舌鼓を打ち、おかわりをせがむも、食べたカレーが半年も前に冷凍していたものだと分かると、途端にニガ~い顔をみせる。さらに、良多のシャツにカレーが飛んでいることに気づいた淑子が、自分の唾をつけた布巾でその汚れを取ろうとすると、「いま舐めたろ。汚ぇなぁ」と思わずツッコみ。しかし、そんなふうに言われても母の愛は変わらず、「いくつになっても、誰かがついていてあげないと…」と息子を心配する様子をみせる淑子の姿が映し出されている。そんな母の愛あふれる言葉を、“元妻”の響子が複雑な表情を浮かべながら聞いているのも印象的だ。今回、『歩いても 歩いても』以来、2度目の親子共演となった阿部さんと樹木さんだが、“神レベル”とも呼べるほど息の合った掛け合いで見せる、母らしい気遣い(お節介?)とそれを煙たがる息子の姿は本当の親子のようで、自然と笑みがこぼれてしまうシーンとなっている。阿部さんは、樹木さんとの共演について「演技の合間に作品のことだけではなく、色々なお話をしてくださって、そういう時間を一緒に過ごすうちに、自然と親子の空気が生まれていきました。樹木さんは、もともとそれを考えて下さったのかな、とも思います」とふり返り、大ベテランに感謝の思いを含ませた。息子・阿部さんと母・樹木さんのリアルな掛け合いに象徴される本作の“家族”を、まずはこちらから確かめてみて。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。