(※【前編】に引き続き、『藁の楯 わらのたて』主演・大沢たかおのインタビューをお届け!)大沢さんが主人公・銘苅を演じた『藁の楯 わらのたて』には清丸という“悪”があり、その清丸への復讐に法外な額の懸賞金を提示する蜷川がいる。九州から東京まで、欲と怨念にかられた人々の追跡をかわしていくエンターテインメントは同時に、正義とは? 復讐とは? という重い問いを投げかけもする。「難しいですよね。それも監督の考えなんだろうけど。これが正義だ、という絶対的なものはなくて。この映画では、ある意味全員が正義なんですよね。それぞれが正しいことを一生懸命やろうとしてるだけで。蜷川も、銘苅もそう。清丸すらそうですよね。自分をただ貫いているだけで、彼自身は間違っているとは思っていない。狙ってくる人たちも、家族のために自分を犠牲にしてお金を手に入れようという、ある種の正義だし…カオスですよね。でも、事件も悲劇も、やっぱり人間同士のぶつかり合いからしか生まれないのは間違いなくて。天から降ってくるわけじゃない。人と人の絡み合いが、こんな巨大な事件を起こすんだということを、演じながら感じましたね」。白岩を演じた松嶋菜々子とは何度も共演しているが、撮影現場で「普通の会話はするけど、一度も役について話し合ったことはないです」と明かす。それは彼女に限らず、「誰ともしない」と言う。「いっぱい話し合ったり、みんなで飲みに行って心を分かち合ってから入るのも一つのやり方だし、いいと思うんです」と前置きしつつ、大沢は「僕は、みんながそれぞれプロなんだから、語り合わなくても、相手を見ていればいいと思う」と言う。「相手を一生懸命感じれば分かるじゃないですか。そもそも日常生活では互いの心について語り合わないですよね。『私たち、これからお付き合いするにあたりまして、自分としましては、方向的にはこんな風に考えておりまして』みたいな(笑)。それがないから人生って面白い。ぴったり来ないんですよ。ちょっとズレるんです。ズレるのが人間の魅力だし、時には恋愛だし、人間関係だから、そのズレがなくなるのが恐ろしい。計画通りに進めようとしても、そうは行かないのが人生だから。“こうだね”と確認しながらやったって、面白くもなんともない。僕は現場を信じてるんです」。自分の仕事について「僕らがいろんなものを削ることによって、初めてお客さんは楽しいから」と全力で挑戦する大切さを語る。「守りに入ったら終わり」とも。「そうならないために、とにかく壊し続けるっていうんですかね。1度やったものは破壊して、毎回現場に臨むときにデビュー当時の緊張感と同じ状態まで持っていけるように、と考えています」。慣れや楽することを「いまは自分の中で許さないようにしている」という大沢さん。良い意味で成熟しない、ひたむきさが伝わってきた。『藁の楯』大沢たかおインタビュー【前編】 引きの演技で魅せた“心”http://www.cinemacafe.net/article/2013/04/25/16738.html
『キングダム』山崎賢人&大沢たかお、8年の思いを激白「すべての時間を使ってやった、削って愛した役」 2024.11.15 Fri 15:00 映画『キングダム 大将軍の帰還』の舞台挨拶で、山崎賢人と大沢…