2013年も面白い海外ドラマが盛りだくさん! そこで、今月は2013年の注目ドラマをピックアップしたいと思います。まずは、昨年度のエミー賞作品賞に輝いた「HOMELAND」。日本では昨年、CSチャンネルのFOX CRIMEでシーズン1が初放送されましたが、今年は待望のDVD発売も予定されていますので、この機会にぜひ多くの方々に観ていただきたい作品です。ドラマの背景にあるのは、9.11以降、テロの脅威に神経を尖らせるアメリカ。8年もの間、イラクでアルカイダの捕虜になっていたものの、救出されて帰還を果たした海兵隊員ニコラス・ブロディがヒーローとして迎えられるところから物語が始まります。そんな彼に疑惑の目を向けるのが、ドラマのヒロインにして、CIAエージェントとしてテロに立ち向かうキャリー・マティソン。9.11を阻止できなかった自責の念に苛まれるキャリーは、「アメリカ人捕虜がアルカイダに転向した」との情報をキャッチ。政府もCIAもヒーロー歓迎ムードに包まれる中、孤独な戦いを強いられることになります。なぜキャリーは孤独な戦いを強いられるのか? というのが、ドラマが進む上での第1のポイント。自国の平和に献身的なキャリーは、9.11の苦すぎる思い出も手伝ってスタンドプレーに走りがち。上司や同僚は彼女の確信を軽視します。しかも、キャリーはもともと双極性障害を患っており、危うい精神状態に追い込まれることも。犯罪捜査ドラマのチャーミングに突っ走るヒロインたちとは一線を画す、複雑な逆境系ヒロインなのです。一方、キャリーに疑いの目を向けられるブロディも、一筋縄ではいかない“ヒーロー”。8年も捕虜だった彼の精神状態が良好であるはずもなく、自分を迎え入れる妻、娘、息子との関係は複雑化していきます。しかも、ブロディの生存を諦めていた妻は、すでに彼の友人と心を通わせ合う仲に…。そんなブロディが家族とどう向き合っていくのか? どう社会復帰していくのか? ブロディの視点で語られる物語が第2のポイントです。そして、第3のポイントは、追うキャリーと追われるブロディの関係。ブロディの寝返りを信じて疑わないキャリーが、彼女の立場からすれば「なかなか尻尾を出さない」ブロディに自ら接触することで物語が加速します。ここで第3のポイントのさらなるポイントとして挙げたいのが、キャリーは女性であり、ブロディは男性であるということ。出会ってしまった2人の関係の行方は? そもそもブロディは、キャリーの疑い通り寝返ったのか? スリリング過ぎるほどスリリングな物語が、危うい恋愛要素と濃密な人間ドラマ共々展開していきます。昨年度のエミー賞では作品賞だけでなく、キャリー役のクレア・デインズが主演女優賞を、ブロディ役のダミアン・ルイスが主演男優を受賞。授賞式時、夫ヒュー・ダンシーの子供を妊娠中だったクレアが、苦悩するキャリー役を離れ、大きなお腹を見せていた幸せいっぱいの表情も印象的でした。ちなみに、2月15日(金)に公開される映画『ゼロ・ダーク・サーティ』も9.11以降のアメリカが舞台で、ヒロインはアルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンの追跡ミッションに命を懸けるCIAエージェント。こちらのヒロイン・マヤは、実話に基づいていることからも分かるようにビンラディンを追い詰めきっているわけですが、マヤにあってキャリーにないものは何か? マヤもキャリーも同様に抱いているであろう想いは何か? そんな見方をしてみるのも面白いと思います。「HOMELAND」[DVD]近日リリース予定発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント公式サイト:http://tv.foxjapan.com/crime/(C) 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation All rights reserved.(C) 2012 Showtime Networks, Inc., a CBS Company. All rights reserved.
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