「犬ごときで」と思う人もいるかもしれないけれど、犬好きというのは、子を持つ親と同じように、「この子が幸せに暮らせるように」と平和な社会を願うもの。当然ながら、犬バカの私には、無類の“DOG-LOVER”と言われるブルース・ウェバーがこの作品に込めた想いが痛いほどに良くわかる。N.Y.同時多発テロ発生時に、離れ離れになっていた愛犬を想う気持ちは、愛する者を持つどんな人の気持ちとも共鳴するはず。そんな想いをきっかけに、極めて自然に幸せの根源を見つめ直し始めたブルースの優しい視線が、説教くさい正義感や、偽善的な平和主義をふりかざす種の反戦映画と本作を違ったものにしているのかも。もちろん、映像の美しさや、登場する犬の愛らしさも、大きな魅力ではあるのだけれど。