ウェス・アンダーソン、という監督の名前にピンとこなくても「『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の…」といえばイメージが浮かぶのでは? 今回は前作で主な舞台となっていた“家”から“海”へと飛び出します。ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェットといったビッグ・ネームから常連のオーウェン・ウィルソンまで多彩なキャストや映画制作のメイキング・シーンも印象的。DEVOのマーク・マザーズボーが手がける気の抜けた炭酸のようなテクノ・ポップもたまりません。しかし一番の見どころはなんといってもビル・マーレイでしょう。アンテナつきのヘルメットをかぶるビル・マーレイ、若者に交じって走り出すビル・マーレイ、息子(?)に嫉妬するビル・マーレイ…とにかくビル・マーレイが炸裂です。最後のほうで彼のもらすひと言がたまらなく泣けました。『ロスト・イン・トランスレーション』とはひと味ちがったビル・マーレイの魅力をお楽しみいただけると思います。