「光の塔」の信者である母・恵から厳しい宗教教育を受けてきたすずは、教えに反することをすると鞭で打たれるなど虐待を受けてきた。ある日、すずは学校で献金袋を盗まれ、お金を借りるために祖母の紀子に会いに行く。そこで虐待の事実を知った紀子と祖父の勝男は、お金を貸す代わりにすずを保護する。すずは、 紀子と勝男から愛されて暮らすことで、「世の人はサタンにそめられている」という教えを疑い始める。しかし教えに疑問をもてば、サタンに堕ちる。それは、すずにとって、母との永遠の決別を意味していた。一方で、すずは紀子や勝男の話を通して入信する前の母の姿を知る。優しかった母はなぜ変わってしまったのか。自由を手放してまで求めたゆるしとは――。
平田うらら