昭和40年代の東京・浅草。大学を辞めてフランス座のエレベーターボーイをしていたタケシは、数々の人気芸人を育ててきた深見千三郎に弟子入りを懇願。ぶっきらぼうだが、独自の世界観を持つ深見からタップダンスやコントの技術、裏方としての進行、「笑われるな、笑わせろ」といった芸人の矜持に至るまで、「芸ごと」の真髄を叩き込まれていく。「芸人だったらいつでもボケろ」という深見の教えに従い、弟子として行動を共にする中で笑いのセンスを磨くタケシは、飛躍的に成長する。だが、テレビの波に押され、フランス座の客足は減り、経営も悪化していく。 そんななか、「外で勝負したい」と考え始めたタケシは、フランス座の元先輩のキヨシに誘われ、漫才コンビ「ツービート」を結成。猛反対を押し切って深見の元を飛び出し、徐々に人気を獲得していく。その一方、時代の流れの中で苦境に立たされる深見。そんなある日、対照的な師匠と弟子の運命が再び交錯する――。
劇団ひとり