舞台は、絶望に覆われ灰色に染まった大都市。生きる意欲も希望も見出せない人々は、次から次へ自殺をはかっていた。そこで唯一、あたたかな灯をともし、繁盛しているのが10代続く老舗の“自殺用品専門店”だ。店内には、首つりロープ、腹切りセット、毒リンゴ、様々な種類の毒薬が所狭しに並んでいる。店を営むのは、超ネガティブ思考のトゥヴァシュ一家。父のミシマと母のルクレスを始め、長女のマリリン、長男のヴァンサン全員がクスリとも笑ったことがない。ところがある日、明るく無邪気な赤ちゃんが誕生したことで、家族の中で何かが崩れ始めるのだった…。
パトリス・ルコント