果てることない海のそば。鉄道員のマロワンは、毎晩「ガラスの檻」のようなコントロール・ルームから、漆黒の港と駅を見下ろしていた。ある夜、偶然にも殺人を目撃してしまったことから、マロワンの運命が大きく歪んでゆく――。原作者は「メグレ警視」シリーズの文豪ジョルジュ・シムノン。彼の隠れた名作「倫敦から来た男」を、熱狂的なファンを持つハンガリーの鬼才、タル・ベーラ監督が独自のカメラワークと長回しで、丁寧に鋭く映しだす。モノクローム映像で綴る、孤高のノワール・サスペンス。
タル・ベーラ