いまや主要キャストの3人をはじめ、『ハリポタ』出身俳優たちは軒並み“アラサー”となり、それぞれの場所で活躍を続けている。今回はシリーズを機にブレイクした俳優たちも含め、『ハリポタ』俳優の“今昔”に注目した。
ダニエル・ラドクリフ/ハリー 多彩な役柄でイメージ払拭!
1989年7月23日、英・ロンドン生まれ。英国の大作家チャールズ・ディケンズ原作のTV映画「デビッド・コパーフィールド」('99)でコパーフィールドの少年時代を演じ、“ミネルバ・マクゴナガル”先生ことマギー・スミスとも共演して俳優デビュー。2001年、J・K・ローリングの世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの映画化にあたり、3,000人以上の中から主人公“ハリー・ポッター”に大抜擢、2011年の最終章『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』まで全8作で同役を演じ切った。
『ハリー・ポッターと賢者の石』TM & (C) 2001 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R
ロンドンのウエスト・エンドに続いてNY・ブロードウェイでも上演された舞台「エクウス」(2007年初演)が高い評価を得るなど、舞台での活動も積極的。同作では一糸まとわぬ姿を披露したことも大きな話題となり、“バーノンおじさん”として知られた故リチャード・グリフィスと共演した。
映画では、ダンブルドア先生の弟“アバーフォース”ことキーラン・ハインズと共演したゴシック・ホラー『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(’12)ほか、ひと夏の青春ストーリー『ディセンバー・ボーイズ』('07)、スティーヴン・キングの息子ジョー・ヒルの長編小説を映画化した『ホーンズ 容疑者と告白の角』(’13)、詩人アレン・ギンズバーグに扮したデイン・デハーン共演作『キル・ユア・ダーリン』(’13)、ジェームズ・マカヴォイと共演した『ヴィクター・フランケンシュタイン』('15)など幅広いジャンルに挑んできたダニエル。
『キル・ユア・ダーリン』
ゾーイ・カザン、アダム・ドライバーら共演の『もしも君に恋したら。』(’13)では、劇場未公開なのがもったいないくらい、キュートな“草食系男子”ぶりを披露した。「科学がマジックに勝つ」と衝撃宣言した『グランド・ イリュージョン 見破られたトリック』では初めての“悪役”、ポール・ダノとの名バディぶりを披露した『スイス・アーミー・マン』では“死体役”を演じたことも。
『スイス・アーミー・マン』
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の映画公開前には、「僕は10年間ジーンズとジップ付きジャケットだったのに、彼はあんなに素敵なコートを着ている」と、新たな主人公ニュート・スキャマンダーを務めるエディ・レッドメインに“嫉妬”していることも伝えられた。この魔法シリーズから離れてすでに8年以上たつが、“『ファンタビ』にハリーが登場する”ことを願うファンも少なくない。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』より
ルパート・グリント/ロン TVドラマ版「スナッチ」では製作総指揮も
1988年、英・ハートフォードシャー生まれ。8月24日に30歳になったルパート。幼少から児童劇団などの舞台に立ち、ロン(ロナルド)・ウィーズリー役に選ばれたシリーズ1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』('01)で俳優デビューする。以後、『死の秘宝』2部作までロン役を演じた。2006年、イギリスを代表する映画誌「Empire」誌よりシリーズを通じた好演が認められ、ダニエル、エマ・ワトソンとともに特別功労賞を受賞している。
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』ワールドプレミア (C) 2011 Warner Bros. Ent. Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R. Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
今シリーズのほかには、コメディ『サンダーパンツ』('02)ほか、“母・ウィーズリー夫人”役としてお馴染みのジュリー・ウォルターズと共演した『Driving Lessons』(原題/’06)に出演。フランス映画をリメイクした『ターゲット』('10)では、小悪魔な詐欺師(エミリー・ブラント)に恋をした殺し屋(ビル・ナイ)と偶然出会い、彼らのドタバタに巻き込まれる一般人トニー役がハマった。ビル・ナイは『死の秘宝 PART1』で新魔法大臣“ルーファス・スクリムジョール”を演じている。
ブロードウェイデビューした舞台「It's Only a Play」では、役作りとはいえ、その“激変ぶり”にファンは騒然! 人気シンガーソングライター、エド・シーランとも間違えられることもしばしば。そんなルパートも作品を選びながら映画、TV、舞台と幅広く活躍している印象で、2013年にはシャイア・ラブーフ、エヴァン・レイチェル・ウッド、マッツ・ミケルセンら豪華共演の『バレット・オブ・ラヴ』(劇場未公開)、2015年には『ファンタビ』で闇バーを経営するゴブリン“ナーラク”ことロン・パールマン共演の『ムーン・ウォーカーズ』に出演。
『ムーン・ウォーカーズ』
また、主演とエグゼクティブ・プロデューサーも務めるTVシリーズ「スナッチ」はガイ・リッチー監督による映画版とはまた違った世界観で描かれ、好評を博している様子だ。
「スナッチ」プレミアに駆けつけたジニー役ボニー・ライトと“兄妹”ショットが実現したことも
エマ・ワトソン/ハーマイオニー フェミニストとしても時代を牽引
1990年4月15日、仏・パリ生まれ、英・オックスフォードで育つ。日本でも2017年NO.1の大ヒットとなったディズニー実写版『美女と野獣』が記憶に新しいエマもまた、オーディションで『ハリー・ポッターと賢者の石』('01)のハーマイオニー・グレンジャー役を勝ち取り俳優デビュー。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(’04)、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(’05)では米・放送映画批評家協会賞(クリティクス・チョイス・アワード)に2年連続ノミネートされ、最終章『死の秘宝』2部作('11)まで出演した。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』TM & (c) 2005 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights (c)J.K.R.
“バーノンおじさん”リチャード・グリフィス共演のBBCのTV映画「バレエ・シューズ」('07)に主演したほか、主に映画で活躍。新時代の青春映画の金字塔『ウォールフラワー』('12)ではエズラ・ミラー、ローガン・ラーマンと好演を見せ、セレブばかりを狙ったティーン窃盗団を基にしたソフィア・コッポラ監督『ブリングリング』('13)、ダーレン・アロノフスキー監督×ラッセル・クロウ主演作『ノア 約束の舟』(’14)、ナチス残党の秘密施設から恋人を“奪還”する『コロニア』('15)などでもイメージ払拭を狙い、女優としての成長を見せつけた。『マリリン 7日間の恋』('11)では“ニュート”ことエディ、『ハリポタ』史上最も残念な先生“ギルデロイ・ロックハート”ことケネス・ブラナーと共演。
『ウォールフラワー』
悪魔崇拝者による事件を描いたイーサン・ホークとのサスペンス『リグレッション』('15)が9月15日(土)より、ようやく日本公開に。“リーマス・ルーピン”としてお馴染みデヴィッド・シューリスと共演している。
名門ブラウン大学を卒業し、英文学博士号を取得。近年ではフェミニスト活動家としても知られ、2015年には米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。英世論調査会社「YouGov」が毎年実施している「世界で最も尊敬される女性ランキング」では今年、女優としては第1位のアンジェリーナ・ジョリーとともに第6位にランクイン。「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」の原作ファンで、同作100冊をパリの街に隠し回るイベントを行ったことも話題となった。
全米大ヒット中の『クレイジー・リッチ!』もチェック済み、大絶賛を贈っているWent to see my #TimesUp sisters @ConstanceWu and @gemma_chan in #CrazyRichAsians today. Their performances were pitch perfect! Love you both so much. pic.twitter.com/kI8V7XGI0D
— Emma Watson (@EmmaWatson) 2018年8月18日
マシュー・ルイス/ネビル “キャラ変”が最も激しい!?
1989年6月27日、英・ヨークシャー州生まれ。ドジっ子な同級生から勇敢で友情に厚く、頼りになる仲間に成長したネビル・ロングボトムを『ハリポタ』シリーズ全8作で演じたマシュー。5歳から児童劇団に所属し、地元で行われた公開オーディションでネビル役を獲得した。2016年、「東京コミコン」の記念すべき第1回のゲストとして来日を果たしている。
BBCのTVシリーズでアフガニスタンで活躍する爆発物処理班の精鋭たち(?)を描いた戦場コメディ「ブルーストーン42 爆発物処理班」(’13~15)にレギュラー出演(Huluにて配信中)し、切り裂きジャックを追った実在の刑事をモデルにした「リッパー・ストリート」シーズン4、5にも参加。映画『世界一キライなあなたに』('16)では主人公(エミリア・クラーク)の体を鍛えることにしか目がない“彼氏”を演じており、ルックスの変動は最も激しいといえそう。
『世界一キライなあなたに』
最近、マルフォイ(トム・フェルトン)からスリザリンに勧誘されそうに!?
トム・フェルトン/ドラコ 実力派としてTV、映画に引っ張りだこ
1987年生まれ、英・ロンドン出身。9月22日で31歳となるトムは、『ハリポタ』子役キャストの中で最もキャリアがあった1人。8歳から活躍し、『ポロワーズ/床下の小さな住人たち』('97)でデビューすると、同作の演技により『アンナと王様』('99)でジョディ・フォスターの息子役に抜擢。そして今シリーズでは主人公ハリーのライバル、ドラコ・マルフォイ役で全8作に出演して人気者に。特に『ハリー・ポッターと謎のプリンス』、続く『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では“ヴォルデモート卿”(レイフ・ファインズ)から重大な任務を任されたこともあり、MTVムービー・アワードのベスト・ヴィラン賞を獲得している。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』 TM & (c) 2010 Warner Bros . Ent. , Harry Potter Publishing Rights c J.K. R.2011年の映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』でも悪役を演じたほか、イエス・キリスト復活のエピソードを映画化した『復活』('16)では“闇の帝王”の実弟ジョセフ・ファインズと共演。デイジー・リドリーの主演映画『Ophelia』(原題/'18)にもクライブ・オーウェンやナオミ・ワッツとともに出演した。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』ドラマ界でも大活躍しており、犯罪ミステリー「MURDER IN THE FIRST/第1級殺人」(’14)、シーズン3にレギュラー出演したDCコミックスの「THE FLASH/フラッシュ」ほか、宇宙版「LOST」ともいわれているYouTube製作の「Origin」(原題/'18)は、『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督が2話までのメガホンをとり、“ニンファドーラ・トンクス”ことナタリア・テナと共演するなど期待を集める主演作。
また、東日本大震災でのサポートなど親日家としても知られ、インスタグラムを小まめにアップしてくれるトム。『ハリポタ』の劇中とは打って変わって(?)ファン思いなところも人気の要因だ。