数々の賞を獲得し、ファッション・アイコンとしても常に注目を浴びてきたソフィア・コッポラ監督がエマ・ワトソンをメインキャストに迎え、実在した10代の窃盗団の顛末を描いた最新作『ブリングリング』。第66回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品で上映された際に行われたインタビューでエマからの貴重なコメントが到着した。ヴェネチア国際映画祭「金獅子賞」やアカデミー賞「脚本賞」を始め、数多くの賞に輝いたソフィア・コッポラ監督作に初出演を果たしたエマ。女性監督との仕事は今回で2回目となるようだが、ソフィアとの映画作りはどうだったのだろうか?「ソフィアはとても落ち着いていて、ストレスを感じていたとしても、私にはそれがまったく分からなかったわ。いままでは自分のセリフ通りにやらなければならないことが多かったから、すべて暗唱できるくらいにしなければいけなかったから、アドリブや即興でやることができるというのはいいものだったわ」と居心地の良い撮影だったよう。本作は、無軌道なティーンがパリス・ヒルトンやオーランド・ブルーム、リンジー・ローハンなどハリウッドセレブの家に窃盗を繰り返し、被害総額3億円にのぼった事件をベースに描いている。そんな本作でエマが演じるのは、タバコを吸ったり、盗んだ服やアクセサリーで着飾ってクラブに入り浸る窃盗グループのリーダー格・ニッキー。このキャラクターを演じるには相当の努力をしたと語る。「カーダシアンズやパリス・ヒルトン、『The Hills』といった番組を見たわ。彼らの心理を理解するように努めたの。彼女が育てられた環境についても想像してみたり、子どものときにどんなことを信じてきたのか、ロサンゼルスという環境が彼女にどんな影響を与えたのかについても考えたわ」と“リアル”を追求したことを明かした。窃盗を繰り返すディーンのグループ“ブリング・リング”についても「ロサンゼルスで起こった出来事という以外に、私の立場から言えば、ニッキーは家庭教育を受け、妹が親友の様な存在で、現実をあまり把握していないの。自分たちの行為はまるで夢の中の出来事のように感じていたと思うわ。悪いことなど起こるはずはない、これはリアルじゃないって」と作品を通して感じたことも多かったようだ。『ハリー・ポッター』シリーズでいまもなお“優等生”のイメージの強いエマだが、本作ではこのイメージを一蹴するような大胆な役柄を演じたが、この“卒業”についてはやはり気になる所だが…?「『ハリー・ポッター』が終わってから3~4年、世の中ではまだそれが現在であり、人々の心の中にあり続けると思うの。それ自体は、とても誇らしく思っているから、そこから距離を置こうとするつもりはないわ(笑)。ただ、この3~4年間があまりにも素晴らしかった。作品ごとに違うキャラクターを演じるのが好きだし、自分を変えたり、クリエイティブな人々と一緒に仕事ができて、私はとても幸運だと本当に実感しているわ」。『ハリー・ポッター』シリーズからの卒業を経て、様々な作品に出演し有名ブランドのモデルとしても活躍しているエマ。それでもまだまだ女優エマ・ワトソンの“新境地”はこれからのはず。まずは、その一歩として踏み出した本作での彼女に括目せよ!『ブリングリング』は12月14日(土)より渋谷シネクイントほか全国にて公開。